タワラシリーズのジャガイモは、本当に素晴らしい環境適応型の優良品種だ。
これなら、まだ未熟な私たちの畑でも上手く栽培できそうだ。
環境適応型ジャガイモ
4月上旬、私たちのささやかな畑に、今年もタワラ品種のジャガイモを植え付けた。
タワラシリーズは、3年前に彼女が見つけてきたものだが、本当に素晴らしい品種だ。
田舎の小さな畑で、現在、草や虫と一緒に野菜を育てている。自然農のコツがなかなか掴めず、まだ道半ばだが、これまで様々なアプローチ・試行錯誤を繰り返しながらテストを重ねてきた。
自然農スタイルは、基本的にはその場にあるものだけで賄っていくのだが、要となる草の管理なども、時期によってどの程度刈り進めてゆけば良いのか、最初はわからなかった。手作業で肌感覚に依るところが大きく、四季は移ろい年に一度しか経験できないことも、実地に繰り返し実習して体で覚えるよりなかった。
農地の前歴、地域性や気候、もとからの土質など、様々な環境条件によっていろいろと方法を柔軟に考慮しなければならないことも解ってきた。
また、それ以外の問題として、一般的な慣行農法に慣れ親しんでいる周囲の村人から、揶揄されたり干渉されることもしばしばあった。
自然農と種子の保全
而して、一度荒廃させてしまっている農地で、自然の循環サイクルだけに一任するやり方で、地力を上げていくのは素人の私たちにとって至難の業であった。この5年ほどの間、正しい方向性を模索し見つけ出すために、随分と労傾も費用も掛けてきた。ある意味、時間との闘いでもあった。
具体的には、農場を何カ所も見学に行ったり、クライスガルテン(貸し農園)で仲間を作りそれぞれのやり方を見たり、自然農塾に通って田圃の耕作を教わったり。またそれぞれの場所で、一番重要な土質の違いを見極めるために、手で触って鼻で匂いを嗅いで確かめてみたりと、自分たちなりに可能な限りフィールドワークを試みてきた。
2018年には種子法廃止が物議を醸したが、その時も有機農家主催の集まりで、野口種苗研究所の野口勲氏の講演会に参加する機会があり、それまであまり詳しく知らなかったタネの種類についても学んだ。
①原 種 / 野生種あるいはもとだね
②在来種 / 地域に根ざした品種
③固定種 / 選抜と交配により育種され固定化
④ F 1 種 / 雑種第一代交配種
それぞれ何がどう違うのかなど、直接間接に意見を聞いて参考にし、種子の保全や保存方法についても意識的に考察を重ねた。
とにかく、なかなか理想どおり簡単に上手くいかないのだ。その道の長年の熟練者でも、人によって言ってることやさじ加減もバラバラで温度差があり、とどのつまり、最終的には自分たちで自分たちなりの方法論を編み出していくしかないと了解した。一口に自然農と言っても、そのパースペクティブは多岐の分野に跨がっており、端的に答えを導き出せるような秘訣は見つからなかった。
優性遺伝の突然変異育種法
そんな中、まだまだ地力も周辺環境も十分とはいえないうちの畑で、タワラシリーズのジャガイモは、まさに救世主であった。
一般的な品種は別として、これまで植えてきた「出島」や「アンデス」とも比較にならないほど、何という安定感だろう。そしてまた、その種芋の姿の雄々しさや美しさは宝石みたいだ。いかに丁寧に育種されてきたか素人目に見てもわかるほど頼もしい。
最初に手にした時から、何か特別なシンパシーを覚えた。そして植え付けてみると、その力強い成長プロセスはどの段階で見てもうつくしびがあって、非の打ち所がない。
本当の優良品種とは、こういうことなのか!とはじめて気づかされた。
しかしながら、このタワラシリーズの生みの親である故俵正彦氏の、育種に掛けた情熱や苦労を調べるうちに、これは実に日本の農業にとっての宝なのであり、尋常な代物ではないこともわかってきた。その真骨頂は、優性遺伝の突然変異育種法であった。
ジャガイモの育種に生涯を捧げた俵氏の、品種登録に至った10品種はいずれも育成者権が消滅し、国の品種となっているそうだ。うち3品種はこれからも種芋の生産が半永久的に継続される。
食料危機がそう遠くないと囁かれているが、備えが万全ではない私たちにとって、このタワラシリーズとの出会いはまさに天佑だった。心から感謝したい。
今うちの畑に自生させようとしている、タワラアルタイル彦星、タワラマゼラン、グラウンドペチカの成長に夢と希望を託して。
身近な自然から気づいた事
タワラシリーズのジャガイモはまさに救世主。本当に素晴らしい環境適応型の優良品種!美味しそう!これなら、私たちにも栽培できそうだ。
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