上手くいけば自家採種も可能な、国産・自然農法で栽培された種子たち。

田舎の家の小さな畑に、何か秋蒔き種子を植えたいと思い、ごそごそと準備を始めた。

暑い暑いとばかりも言っていられないのだが、9月も半ば過ぎ、なかなか残暑どころか、夏日のような日々が続いている。


素人仕事で、なかなか細やかな世話や手入れが行き届かないため、この気温のままでいけるかなあと、暑さにうだりながら、涼しい時間帯を見計らって、とりあえず身体が動くに任せた。


種蒔きの前に準備を整えるため、これまであまり面倒を見れていなかった場所に、そろそろと手を入れ始めた。


日当たりの強い場所で、暑さのため土は固くしまっていた。

夏草をノコギリ鎌でとって、鎌先で宿根草などを探り探り除去して下地を整えだしたが、固い土をほぐさなければならず、思いのほか随分手間取るはめに陥った。


スコップで少し土を掘ると、直ぐに粘土質の山の土、固い固い、赤土の耕盤層があらわれた。


赤土の塊を手でほぐし、土質を安定させた

綿密な赤土の粘土層(耕盤層)に張り巡らされた、笹の宿根を除去する作業。

ああ、ここはまだまだだな。きめ細やかに手入れが出来ていなかったんだから、そりゃそうだ。と反省して、一生懸命に掘り進んだ。

粘土層(耕盤層)を畑作に適した作土層に変えるためには、少なくとも20㎝くらいは掘り起こし、粘土層(耕盤層)を壊さなければならない。手作業のため、時間は結構掛かったのだが、そんなに広い面積を開墾できたわけではない。


草の根っこも入らないくらい、綿密で固い粘土層(耕盤層)には、たいがい強い、笹の宿根が張り巡らされていた。除去しようと掘り出すと、高麗人参のような根っこは、固い粘土層の中でも自在に伸びていた。

なかなか根気のいる作業で手こずったが、黙々と何とか頑張れた。

あとは、赤土の塊を手作業でほぐし、自家製の培養土とブレンドして、手で土を揉みながら徐々に土質を安定させていった。少し間をおいたら完成だ。


そもそも私たちの畑は、そんなに条件はよくない、赤土の上に畑の土を盛ったような状態からスタートしたので、下地がいまひとつの箇所はまだまだある。最小限の装備で、何もかも一からだった。二拠点生活で時間的制約もかなりあって、手が回らないコロナ禍中の状況下で、とにかく暫定的にでもと押し進めてきた。


先祖から代々受け継いだ、もとから肥沃な土地でもあれば話は別だが、はじめから都会育ちでゼロから試みに始めた私たちの場合、そうはいかなかった。


与えられた条件下で、文句を言わずにテストを重ね、独習し続ける必要があったのだ。

自然農|最初から、既存の答えなど無い

耕作土の下に横たわる赤土は綿密で固く、雑草の根すら入り込む余地は無い。

理想の自然農に近づける上で、まず第一に土は耕さない『不耕起』というセオリーが出てくる。しかしここで『不耕起』という言葉に囚われてしまっては元も子もない。全く耕さずにこのカチカチの赤土のまんまでは、いつまでたっても、何を植えても作物は育たない。


私たちは、適正且つ自分たちでも取り組める、妥当な方法を探し出すため、しばらく自然農塾に通っていた。

その自然農塾でも、このカチカチの土質にどう対処すれば良いか、塾生さんたちから時折質問が投げかけられていた。

普通なら単純にわかりそうなものだが、『不耕起』というセオリーにこだわるあまり、正確な知識として教えられていなかった。それで、私も随分矛盾を感じていた。あくまで『不耕起』だからだ。

質問した塾生さんたちが惑わされたり遠回りする要因にもなっていたのではないだろうか。私たちもその一員だったが、素人だと思って、言い負かされても、誰も反論の材料を持ち合わせていない。質問しても、堂々と正論として不正確なことを述べられる場面も、しばしば見受けられた。


期待して行ったので、一寸がっかりしたが、そもそも最初から、既存の答えなど無いことに気づいた。

身の丈に合ったやり方で、自身で発見するしかないのだと。


これが学びだった。


みんな、わからないなりに模索しながらやっているのだ。


さあ、種蒔きをはじめよう!

赤土の塊をスコップと手でほぐし、自家製の培養土とブレンドして、手で揉んで土質を安定させた。

而して、出来るだけ他者に頼らず、わからないなりに真剣に、直面した問題に一つ一つ向き合いながら、自助努力のみで可能性を探究して来れたことは、とても良い訓練になった。


本当によく遊び、よくここまで自分たちを鍛え、成長させながら来れたと思う。われながら、自画自賛の極みだが(笑)


少し土質に配慮をしながら、準備が整ったら、


さあ、種蒔きをはじめよう!

エネルギーの解放|眠っている土を起こす

自然農法家 福岡正信|モノに価値があるんじゃない、人間が生産しているんじゃない。草一本、人間が作っているんじゃない。自然が作っているんだ。

自然農法のパイオニア、福岡正信翁自然農法を確立する以前、最初に山に入植したとき、その山の土を耕したと語られている。


土を眠りから覚ますため、人間はほんの少し耕さなければならないという。


山の赤土にはあらゆる栄養素が含まれており、アルミニウムがその成分を堅く握りしめている。


眠っている土を起こし、そのエネルギーを解放する、きっかけを作る必要があったのだ。

世界中の人々から尊敬を集める、福岡正信翁の危機的な地球環境への洞察と、計り知れない救済の叡智を孕んだ、自然農法には、私たちの正しい在り方へのヒントが詰まっている。


Fukuoka Masanobu-Natural Farming

自然農法実践家 福岡正信


身近な自然から気づいた事

山の赤土|福岡正信翁の自然農法

何か秋蒔き種子を植えたいと思い、ごそごそと準備を始めた。

固い土をほぐさなければならず、思いのほか随分手間取るはめに陥った。

自然農法には、私たちの正しい在り方へのヒントが詰まっている。

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