ツバメが帰って来ると、幸せな心持ちになる。
また今年も帰って来てくれた!
ここがみんなの故郷の家なんだ!
という喜びと安堵感がこみ上げてくる。
まわりで田植えの準備作業が始まると、トラクターにひっくり返された土の中から出てきた、蛙や昆虫を狙って、野鳥たちがやって来る。
トビや白鷺や最近はコウノトリまで。
いつもの里山の原風景にしばし和む。
至福のひとときは、わが家に帰ることの大切さをおしえてくれる。
ツバメが帰って来た
田舎の家に、ツバメが帰って来た。
4月の終わり、少し気候が温かくなって近隣の田んぼで代掻きが始まった。潤沢に田表に水が張られる時期になると、ツバメたちはまた元気な姿を見せてくれた。
巣の材料となる小枝・枯れ草・泥を少しずつくちばしに咥えて運び、いつもと同じところ、わが家の玄関先の軒下の真ん中に、巣をこしらえた。
巣作りのペースは驚くほど早く、3日から4日くらいでほぼ外形を整えるが、乾かしている間しばらくは巣に戻らない。田んぼの上を5羽ほどで飛び回っているのを見かけたが、戻らないときはうち以外の場所の巣作りを手伝いに行ってるのかも知れない。
デリケートな巣作りの邪魔にならないように、いつも「上手くいってるかな」と、そっと戸の隙間から見るようにしている。そして、補修も含めて一週間もするともう完成しているのだ。
毎年少しずつ、巣の形や大きさは異なるけれど「今年のは上手いなあ」とか「大きくて立派やなあ」と見上げては自分ごとのように誇らしく、仕上がりを見守っている。そして何度見ても、毎回その出来映えの緻密さに、つい見惚れてしまう。
ツバメの帰巣本能
ツバメの里帰りの驚異的な能力のことを、帰巣本能(きそうほんのう)というそうだ。地球の地磁気に基づいて磁気コンパスで帰巣の経路を見つけるそうだが、それは一体どのぐらい長い年月の間続いているのだろうか。
この一見小さく日常的な営みの中に、少々大層だが、はじまりも終わりも無い、生命の永続性を洞察する。
そしてツバメたちの活動を静かに見守っていると、いつのまにか自分もその一員になったような気持ちになって、繋がる生命の尊さへの感謝に満ちあふれてくる。ツバメが幸福を運んでいるというのは、本当のことだった。
それからほどなくして、ペアのツバメは早くも卵を抱いていた。星のきれいな晩に。巣の中が狭いので、ほっぺとほっぺを合わせて、後ろ向きにしっぽを出して眠っている。その光景は、本当に愛らしい。
どうか雛が無事に育ってくれますように。これから子育ての日々が、とても楽しみだ。
身近な自然から気づいた事
ツバメが帰って来ると、幸せな心持ちになる。ここがみんなの故郷の家なんだ!という喜びと安堵感がこみ上げてくる。
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